2021年08月22日 (投稿者: 株式会社フレンズ ) 夏から秋えと季節は移っていきます。

令和3821日  【風そよぐ ならの小川の夕暮れは  みそぎぞ夏の しるしなりけり】  従二位藤原家隆   蝉の声から、虫の声に代わるこの季節、少し夏を 恋しがっている様子も うかがえます。(風そよぐ、なら)の、ならは ブナ科の落葉樹、ならの木の葉が 風に、さらさらと そよいでいる様子ですが この詩の、ならの小川は、京都北区の 上賀茂神社の【御手洗川】の ことを掛けて言っているそうです。平安時代の大切な行事 大みそかに行う 7月から12月までのお祓い(晦日祓)1月から6月までの 罪汚れを、厄払い(みなずき祓い) みそぎの夏は みなずき祓い【夏越祓いとも言う】を、詩っています。ですから、御手洗川の清流に 秋風を感じながら みなずき祓いを見て まだ夏なんだと思っている様子を 歌っていることになります。清流に、夏を感じ 楢の木の 葉のそよ風に 秋が近づいていることを 思わせる、素晴しい和歌だと思います。

作者の、従二位家隆の妻は、寂連法師の娘さんですので、法師の紹介で 藤原俊成の門下生になり、藤原定家と共に 後鳥羽院に認められ 新古今和歌集の選者にも なっています。

今から800年も前のナラの木のそよ風 どんな風だったんでしょうね、もしかしたら 私たちが感ずる 今のそよ風と 同じかもしれませんね。  小林昭男