2019年10月15日 (投稿者: 株式会社フレンズ ) 山梨の産んだ徘界の巨匠飯田蛇笏


台風が過ぎると一段と 秋が深まります。被災地の方々、復旧工事大変ですが 頑張ってください。
山梨県が生んだ俳人、飯田蛇笏は素晴らしい秋の俳句を残しています。
『芋の露 連山影を 正しゅうす。
芋も、露も秋の季語ですが 里芋の葉の上に出来る 透明の大きな 水玉を指しています。連山は、笛吹市黒駒から見た、南アルプスでしょう。秋の空気の 澄んだ山の稜線と、目の前の水晶の様な 里芋の葉に揺らめく水玉を見て、自分まで体がシャキッとしたのでしょう。
山梨県笛吹市境川村黒駒の 名主の家に生まれ(明治18年、1885年)早稲田大学に進みましたが、故郷、黒駒に帰り 大正四年 俳句集『雲母』を主幸しました。
『もつ花に おつる涙や 墓参り』
明治27年、蛇笏が9才の時の俳句です。子供の俳句とは 到底思えないと専門誌でも 記してあります。
『持ち出でて 身に沿う秋の 扇子かな』
秋になり涼風が 吹き始めたので、迷ったが、日中暑くなり やっぱり持って来て 良かったと 内心微笑んでいる 様子が良く解ります。
故郷境川村黒駒で 昭和37年(1962年)77才の 生涯を閉じるまで 作家活動を続けました。屋敷内、庭園の池には、コイがたくさんいて 友人を招き(井伏鱒三等)、コイ料理に 舌づつみを 打っていたそうです。小林昭男