2019年03月15日 (投稿者: 株式会社フレンズ ) 宮本百合子の播州平野を読んでみました。


本百合子の 播州平野読んでみました。夫、宮本顯治(日本共産党元委員長)が終戦の日まで、思想犯として 網走刑務所を 出所するまで 百合子の心の葛藤を 素直な表現で 描いています。広島にいる 顯治の母から(顯治の弟が 爆撃で 行方不明になった)との手紙をもらい 急いで広島に 向かいます。無我無中でしたので 周りの事は何も目に入りませんでした。

終戦で、網走刑務所から、宮本顯治が出所することを 新聞で見て、東京に帰る事します。日本は混乱して、思うように汽車も走りません。汽車に乗り、馬車に揺られながら、ふと周りを見ると、播州平野が 目に止まりました。
荷馬車に 揺られながら、加古川から明石を目指す 風景が、透き通る様な 秋の夕日に照らされて、のびやかに広がって居る光景が、関東平野や、那須野と比べ違い 綺麗に耕された光景と、遠くに臨む 山々が調和して、来るときは何も見えなかったのに、夫にあえる 嬉しさで、こんなにも景色までが 美しく見える事を 不思議に思いながら 帰郷したことが、 穏やかな表現力で 読者の心を揺さぶります。
戦前のプロレタリア文学から 生まれてと思いますが、内容は、夫の事、家族の事を思う、一人の女性として、描かれている様な気がして、戦争の恐ろしさ、不自由さを 端的に教えています。
1951年【道標】3部を完成させた後、急性敗血症のため 51才で亡くなりました。  小林昭男